フリーランスやめるので本当のことを全部書く

Published:2017.12.15Last updated:2017.12.18

この記事はフリーランス Advent Calendar 2017、15日目の記事です。

なので、この記事の前後にはきっといかにもフリーランス然とした華々しい記事が繰り広げられるでしょう。
そんな中、颯爽とフリーランスをやめ(多分)会社員になるわたし(@moro_is)です。

なぜフリーランスをやめるのか

いくつか理由はあるのですが、

  • 会社員への抵抗が薄れた
  • フリーランスとしての限界が見えてきた
  • 世帯を持った

というのが大きいです。
以下、ひとつずつ掘り下げていきます。

会社員への抵抗が薄れた

僕がフリーランスデビューを果たした2012年、IT業界は今ほど好景気かつスタイリッシュな業界ではなく、割りと当たり前に「終電まだなのにもう帰るの!?」的な業界だったように思います(もちろん会社によるけど)。
入社当日に寝袋が支給されたり、お給料の不払いだったり、出社したら張り紙一枚で会社が潰れていたり、今ではITerにはやや敬遠されがちな体育会系のノリも珍しくありませんでした。

そういったアレコレに心底嫌気がさしてなし崩し的にフリーランスになりましたが、今は随分と時代が変わりました。
ブラック企業には白い目が向けられ、Webの価値は当然のように知れ渡り、なおかつ売り手市場の良い時代です。

最近のフリーランスのメリットとしてよく挙がるのが、

  • 対人ストレスがない
  • 通勤のストレスがない
  • 終身雇用のない現代の就職はリスク

などですが、少なくとも僕にとってはほとんど幻想か、些細な問題に思えます。

まず、フリーランスといえども対人関係は切り離せません。
むしろ僕が知っている成功を収めたフリーランスの人の多くは、愛され上手で誰からも必要とされる人柄の持ち主ばかりです。

対人ストレス0のまま成功するフローとして思いつくのは、

  1. 個人でサービスを作ってヒットする
  2. 運営もそこそこに事業売却
  3. 1-2の繰り返し

のような流れですが、どう考えても誰にでもできることではなく、少なからず運の要素にも頼ります
近い形で成功を収めているかの一生分稼いだ男ですらユーザーひとりひとりと密にコミュニケーションを取りながら必死にサービスを運営しつつ、それどころか企業の相談に乗ったりメンター活動なんかもやったりしているようです。
ただでさえすごいのに貪欲すぎてほんと無理。

通勤のストレスについても、最近はフレックス制度やリモートワークもあります。
そうでなくても確定申告の手間や税金のストレスに比べたら汚いおっさんにもみくちゃにされる程度大した問題ではありません。
今となっては私が汚いおっさんですが。

そもそも僕の場合は大して何も考えずフリーランスになりました。
特別な思い入れもなく「ただ税務署に紙切れ一枚提出しただけ」程度の意識です。
もし会社員になってみてダメだったら、また紙切れを提出したらいいだけです。

フリーランスとしての限界が見えてきた

いつだったか「誰も教えてくれなかった「フリーランスは厳しい」ではなく「甘い」という真実。」という記事がバズっていました。
大枠としてフリーランスは、

  1. 冒険して失注したらシャレにならないので手持ちのスキルをやりくりして受注せざるを得ない
  2. 生活があるので1の繰り返し
  3. 新しいスキルが身につかない

になるよね(意訳)、みたいな記事なのですが個人的にこれがまた痛いくらいその通りで、フリーランスを続けるなか常に「自分のスキルは一般的に見て低いのではないか?」と恐れていました。

デザイナーにしてはアーティスティックでなく、エンジニアにしてはフレームワーク依存で、マーケターとしては方便が苦手で、プランナーとしては熱量に欠け、ディレクターとしても求心力が及ばないいかにも中途半端なフリーランスでした。
どこの芝生を見ても目を焼かんばかりのコバルトブルーです。

「じゃあ週3労働くらいに抑えて残りはスキルアップに努めれば?」と思うところですが、僕の場合ちょっとくらい多めに稼いでも多少夕食が豪華になる程度でそれほどの余裕は得られませんでした。

  1. 普通に頑張った〜でも会社員の何倍も稼がないとっていうしな〜
  2. 割りと頑張った〜でもまだ余裕ある気がするし社会的信用ない分もっと頑張らないと〜
  3. 相当頑張った〜でも税金もあるからもっと〜
  4. 死ぬほど頑張った〜でも来年の税金で死ぬから〜
  5. でも〜

といった具合です。
金額の話を出すと生々しいですが、一般的に華々しいはずの年収1000万円を達成したって消費税に戦々恐々とするばかりでした。

割りと落ち着いてきた最近になっては器用貧乏なりの強みのようなものも何となく打ち出せなくもないのかな〜、と思えなくもなくなってきましたが、とはいえ負けず嫌いなので個人的にはまだまだ上を目指したいお年頃です。

さらにいえば、スキルアップは常に各ジャンルのプロフェッショナルがいる企業に所属したほうが断然効率がいいです。
Webに関するほとんどの知識を独学でやりくりしてきた僕が言うんだから間違いありません。

しかも会社にお金もらって勉強できる会社員めっちゃ羨ましい

ちょっと毛色は違いますが、いつだか話題になっていた「何者にもなれなかった」という記事もあります。

めっちゃわかるわ〜胸が痛いわ〜、と思いました。
確かにフリーランスは気楽な面もありましたが、凡才が気楽でいていいわけないわ〜気楽を捨てても何者かになりたいわ〜、と願うばかりです。
(でもこのブログの人、結構普通にすごいよね? 見せ方が悪いと思う。謙遜上手め。)

世帯を持ったため

さいごに途端に現実的な話で恐縮ですが、昨今騒がれている待機児童問題。
「フリーランスだと保育園の審査とかしんどいだろうな〜」という俗なお話です。

家族大事。

フリーランスになってよかったこと

も、もちろんあります。
僕の場合はちょっとフリーランスとしての成り立ちが変で、何の伝手もなくフリーランスになり、5年間ひたすら新規のクライアントと短期的な取引ばかりしていました。

世のフリーランサーに話を聞くとどちらかといえば「前職(知人)からの紹介」だったり「継続案件」だったりからスタートする人が多いようです。
普通に考えたらそっちの方が絶対安定するし、堅実です。

これは単純に社会人としてちゃんと人間関係を築けなかった自分の至らなさが問題なのですが、それでもフリーランスとしてなんとかやっていくことができました。
(ご迷惑をお掛けした各位、すみませんでした!)

結果論ではありますが、これならいつかまた突然何の準備もなく無職になっても、破れかぶれながらもやっていけるかな、という安寧を得ました。

逆にフリーランスが向いてると思う人

否定的なことばかり並べ立てるのもアレなので、主観ではありますが「フリーランス向きの人」をイメージしてみました。

「人を使う」立場になりたい場合

自身が手を動かすことに固執せず「人を使う」立場になりたい場合、フリーランスは打ってつけではないかと思います。

もちろんいきなり人を使う立場にはなれないのでしっかりとスキルを身に着けて単独で生計が立てられるのはもちろん、さまざま人とコミュニケーションを取って連携を図っていくことは必須です。
つまり、一度その分野のスペシャリストと呼べるほどのスキルを身につけ、そしてそのスキルを封印してディレクションに徹することになります。

やや誇張気味ではありますが、僕にはそれがとてももったいないことに思えていまひとつ気乗りしませんでした。
もちろん人を使いながらも技術者でいる選択肢もありますが、僕の場合はコミュニケーションが面倒臭くてフリーランスになった面もあったため本末転倒でした。恥ずかしながら。

ただ「自分でがんがん作るぞ!」となると労働集約型を避けられず、遠からず頭打ちを迎えるためオススメできません。

めちゃくちゃ優秀かセルフブランディングが得意な場合

セルフブランディングが得意で積極的に名を売っていけるか、そもそも何もしなくても優秀さが隠しきれないレベルの場合、もしかしたらフリーランス向きかも知れません。

僕の場合、能力はさておきそもそも目立つことが苦手でした。
謙虚であれ、謙遜こそ美徳、と常々思います。

しかしこの競争社会、他人に労力を裂いて「事実か謙遜か」なんていちいち検討していられないので、大抵の場合残念な結果を招きます。
世の中が求めているのはわかりやすくすごい人で、本当にすごいかどうかは二の次。
もしあとから口ほどにもなかったことが発覚しても、その責任は本人が負うだけなので気軽に騙されることができます。

さらに「俺はすごいぞ!」というセルフブランディングは期待という重圧になり、結果的になんやかんや本当にすごい人が出来上がるケースも少なくありません。
もちろん出来上がらないケースのほうが多いのは言うまでもありませんが、そういったある種の向こう見ずさが(なくてよかったなとも思う反面)あればよかったのかなと思います。

昨今のフリーランスブームとサラリーマンとの対立

昨今新しい働き方としてフリーランスが注目される一方、サラリーマンとフリーランサーの間にはある種の対立があるように思います。

確かにフリーランスはたくさんのメリットやデメリットを内包しつつ、社会人のあり方として新しい選択肢となりました。
だからこそせっかくの新しい選択肢をもっとフラットに利用しない手はありません。

ライフステージが変われば優先事項は変わり、寝て起きれば気分も変わります。
フリーランスとしての経験が企業にとって有益をもたらすケースもあり、サラリーマンとしての社会人経験がフリーランスとして活かせることももちろんあります。

優劣を競うのではなく、あくまで個人に付与された一属性として、いつでも都合の良い方に着替えられるようにしておくのが賢い選択ではないでしょうか。

(というのはもちろん大前提で大抵の人はそうしていると思うのですが、ポジトークで変に扇動する人もいるため一応……。)

正直「これからは個の時代! だからフリーランス!」みたいに言われながら、個どころかただの働き方でどんだけ大騒ぎだよ、と感じることがとても多いです。
僕個人を形成するいくつかの要素の中の、働き方なんてものはそれこそ数パーセントでしかありません。
やりたいことが腐る程ある、生きていければ他はどうだっていい、の成れの果てが僕という陳腐なフリーランスのはじまりでした。

余談ですが「リパレード」という屋号は「とっとと成功して小学生の頃みたいに些細なアレコレがパレードみたいに思えた日々に戻りたい」的な願望のこもったものでした。恥ずかしいから初めていうけど。

そういう意味では大成功とはいきませんでしたが志的には何も変わっていないため、これからもたぶん挑戦の日々です。

終わりに

というわけで、颯爽とフリーランスをやめます。
5年間以上にも及ぶ個人事業、大変楽しゅうございました。

結論としては、フリーランスとかサラリーマンとかどっちでもいい、
どっちにもすごい人すごくない人がいて、ただその日その時の有り様のひとつでは、と思います。

ちなみに僕も、何も一生フリーランスに戻らないなんて決意は全然なく、来年戻るかもしれないし来週戻るかも知れません。

さらに別件ですが、「リパレード」の屋号も消滅させまして、新たに「Doocts(洞窟)」の屋号を取得する心算です(飽きたので)。

日本語を英語っぽく表記する文化格好良いよね!
「パレード」から「洞窟」って闇落ち感が半端ないけど。

このサイトは「企業っぽく」がコンセプトだったけど」はもっとアーティストっぽい感じを目指すぞ!

あと流行っているそうなのでタイムチケットを作ってみました。
あんまり使い方わかってないけどなんなりとご相談くださいませ。

大したことは言えませんが、少なくとも親身にお答えする所存です。

末筆ながら、フリーランスの失業保険制度制定に先駆けてしまうことだけが心残りです。

ではでは、お後がよろしいようで。

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